経済学の新書は玉石混交です。時事解説やビジネス書に寄ったものを除いて、「経済学という学問が何をどう考えるのか」がわかる定番だけを6冊選びました。数式はどれもほぼ出てきません。基準はテーマ記事共通で、経済学者本人が書いていること、読書メーターの登録数でいまも読まれ続けていると確認できることです。
経済学的思考のセンス大竹文雄・中公新書
「経済学とはお金の学問」という誤解を、最初の一冊で解いておきましょう。本書が扱うのはインセンティブ——人はどんな仕組みのとき、どう動くか——です。身近な疑問から入って、気づけば経済学の考え方の型が身についている構成で、刊行から20年近く経ってもこの用途での定番であり続けています。
- 刊行: 2005年12月
- 読書メーター登録: 902人(2026年7月7日時点)
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現代経済学瀧澤弘和・中公新書
経済学は20世紀後半から大きく姿を変えました。ゲーム理論、実験、行動経済学、制度の経済学。本書はその「いまの経済学の全体地図」を新書一冊で描くもので、教科書と一般書のあいだを埋める本として重宝します。個人的には、この6冊の中で読み返す回数がいちばん多い本です。
- 刊行: 2018年8月
- 読書メーター登録: 606人(2026年7月7日時点)
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行動経済学の使い方大竹文雄・岩波新書
行動経済学の入門書は無数にありますが、「使い方」まで書いてあるものは多くありません。ナッジ——選択の自由を残したまま行動を変える仕掛け——の設計を、医療や労働の実例で示します。流行語としての行動経済学ではなく、道具としての行動経済学を知りたい人向け。
- 刊行: 2019年9月
- 読書メーター登録: 1,149人(2026年7月7日時点)
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多数決を疑う坂井豊貴・岩波新書
多数決は、実は候補が3つ以上あると簡単におかしな結果を出します。本書は社会的選択理論の入門で、「決め方」自体を数理で設計するという経済学の一面を見せてくれます。選挙のたびに思い出す本です。薄くて一気に読めるので、箸休めの位置に置きました。
- 刊行: 2015年4月
- 読書メーター登録: 2,045人(2026年7月7日時点)
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人口と日本経済吉川洋・中公新書
「人口が減るから日本経済は衰退する」という、ほとんど疑われない直観に、マクロ経済学の第一人者が正面切って異を唱えます。成長を決めるのは人口ではなくイノベーションだ、という主張の当否は読んで判断してほしいのですが、少なくとも「人口決定論」が自明でないことはわかります。刊行時にベストセラーになった一冊。
- 刊行: 2016年8月
- 読書メーター登録: 1,270人(2026年7月7日時点)
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社会的共通資本宇沢弘文・岩波新書
最後に、経済学の内側からの経済学批判の古典を。医療・教育・自然環境のように、市場に任せても利潤動機で運営してもいけないものがある——宇沢弘文がその考えを一般向けに書いた本で、刊行から四半世紀、読まれ方はむしろ強まっている印象があります。上の5冊で「経済学の考え方」を掴んだあとに読むと、批判の重さがわかります。
- 刊行: 2000年11月
- 読書メーター登録: 1,396人(2026年7月7日時点)
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順番の提案: ①大竹『センス』→②瀧澤で地図を手に入れて、③④⑤は関心のあるものからどうぞ。⑥宇沢は最後に。
※読書メーターの登録数は2026年7月7日時点のもので、日々変わります。書誌情報は各リンク先でご確認ください。毎月の新書の新刊は新刊カテゴリでまとめています。

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